こんにちは~池さんです(#^^#)
今回のテーマはこちら!
【激白!】スクールカウンセラー×臨床心理士としての悩みと葛藤
臨床心理士として公立学校のスクールカウンセラーをしていて日々思うことがあります。
「今のカウンセリングはこれでよかったのだろうか…」「先生方にどう伝えよう…」「あの言い方で子どもたちにきちんと届いただろうか…」など不安や心配に感じることが少なくありません。
なので、今回はスクールカウンセラーとして勤務する中で抱く葛藤を備忘録もかねて記していきたいと思います!
今回の記事は以下のような人におススメです。
・同じスクールカウンセラーとして働いている方
スクールカウンセラーの仕事内容について以下の記事で詳しく解説しているので、ご参照ください。
【激白!】スクールカウンセラー×臨床心理士としての悩みと葛藤
私は今年度でスクールカウンセラー歴が4年目になります。経歴で言えばまだまだ若手ですし、経験も浅く、やっと仕事にも慣れてきたところです。
右も左も分からないままがむしゃらにやってきて、少し余裕も出てきて学校全体や教職員との関係性もできてきました。
すると今度は、スクールカウンセラーなり立ての頃とは違った悩みや葛藤を抱くようになりました。
その頃と比較して、現在のスクールカウンセラー×臨床心理士としての悩みや葛藤を告白したいと思います。
【答えが見つからない!】カウンセリングに留まるべき?それとも心理療法をする?
スクールカウンセラーとして働く中で一番の悩みは、子どもでも保護者でも「カウンセリングを行うのか」「心理療法を行うのか」という点です。
以下に示すように、文部科学省の見解では、スクールカウンセラーに求める業務は「相談(カウンセリング)」です。
スクールカウンセラーの業務は、児童生徒に対する相談のほか、保護者及び教職員に対する相談、教職員等への研修、事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケアなど、ますます多岐にわたっており、学校の教育相談体制に大きな役割を果たしている。
・スクールカウンセラーは、1~7のような児童生徒が抱える問題に学校ではカバーし難い多くの役割を担い、教育相談を円滑に進めるための潤滑油ないし、仲立ち的な役割を果たしている。
1.児童生徒に対する相談・助言
2.保護者や教職員に対する相談(カウンセリング、コンサルテーション)
3.校内会議等への参加
4.教職員や児童生徒への研修や講話
5.相談者への心理的な見立てや対応
6.ストレスチェックやストレスマネジメント等の予防的対応
7.事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケア
ここで述べているカウンセリングとは、カール・ロジャーズの提唱した来談者中心療法の視点を取り入れた相談体制のことを指します。
来談者中心療法では、相談者の話に耳を傾け(傾聴)、悩みや心配事を否定せず受け入れ(無条件の肯定的関心)、相談者の立場に立って気持ちを分かろうとします(共感的理解)。この時、カウンセラー自身、誠実かつ真摯な態度で相談者と向き合う(自己一致)ことも大切です。
基本的には指示や助言はせず、カウンセラーとの対話の中で、相談者自らが自己成長したり悩みや困りごとを解決したりするよう、上記に挙げた姿勢で臨みます。
相談の中で相談者自身の気持ちや考えが整理され、心理的に余裕が生まれることが期待できる場合、とても有効な手段になり得ます。
しかし、ただ話を聴くことで状態が変わる人ばかりではありません。
相談者自身も忘れているような幼少期の辛い記憶や母親との関係性に目を向けたり、偏った見方や考え方を和らげたりすることが大事な人もいます。
その場合、カウンセリングではなく、心理療法の視点を取り入れなければなりません。
臨床心理士の中でも、この意見は二分するところだと思いますが、私は必要に応じてカウンセリングと心理療法を使い分けた方が良いと思っています。
それは、目の前の相談者のニーズに沿った対応をすることが第一優先だと考えているからです。
もちろん、相談者の要望にすべて従うという意味ではなく、自分のスキルや経験と学校内の相談環境という点も踏まえて判断します。
なので、スクールカウンセリングの範疇を超えるような悩みや困りごとであれば、すぐ必要な支援が受けられる相談機関や医療機関を紹介します。
心理療法を行う際も、継続的に来室できそうか、相談者自身に来談の意欲や覚悟があるか、続けられる精神状態にあるか等、さまざまな視点から検討します。
ただ、ここには学校側のニーズやスクールカウンセラーの勤務体制など、多くの要因が複雑に絡み合って実現が難しい場合が多いため、本当は心理療法をした方がいいと思いつつも、無難にカウンセリングを行うことも少なくありません。
恐らくこの悩み・葛藤にただ1つの答えはなく、今後も抱えていくと思います💦
不登校の相談を受けるカウンセラーとしての苦悩を記事にまとめたので、ぜひご覧ください。
【どうしたらいいの?】集団守秘義務ってどこまでのことを指す?
2つ目の悩み・葛藤は、教職員との情報共有に関することです。
学校内では、集団守秘義務という名のもと、教職員とスクールカウンセラーで相談者の相談内容を一部共有することがあります。
これは、個人で守秘義務を負うのではなく、学校内という集団の中で守秘義務を負うという考え方です。
スクールカウンセラーは、雇用契約上、学校長に対してカウンセリング内容の報告義務があります。一方、臨床心理士は、臨床心理士として遵守すべき倫理要綱(ルールブック)において相談者との間に守秘義務が課されています。
一見、矛盾するこの2つの義務の中で、スクールカウンセラーは常に慎重かつ臨機応変な判断や対応が求められるのです。
この場合、スクールカウンセラーは相談者との相談内容を事細かく教職員と共有するのではなく、相談の大まかな概要や助言内容、今後の相談の方針など一部を切り取って報告します。
しかし、いじめや自殺など緊急性が高く重大な事案については、守秘義務の枠組みを超えるため、具体的な内容を教職員に報告します。
私の場合、通常の相談内容では、必要性がある情報については相談者の了承を事前にとって教職員と共有するようにしています。
必要性がない情報については、”共有しない”もしくは”概要だけ話す”ようにしています。
ただ、これらの判断を個人でしなければならず、集団守秘義務やカウンセラー自身の守秘義務も曖昧で線引きが難しいのが実情です。
どの情報をいつ、だれに、どこまで共有・報告するかはいつも悩みます。
これも一概に「ここまで!」と断言できないのが難しいところです。
「スクールカウンセラーに相談したら全部担任に筒抜けだった!」というお怒りの投稿をネット上で見かけることがありますが、これは教職員の集団守秘義務違反もしくはカウンセラー自身の守秘義務違反があったのではないかと思っています。
思っている以上にカウンセリングにおける相談内容はデリケートであり、情報の取り扱いには慎重になりすぎるくらいがちょうどいいのかもしれません。
それでもスクールカウンセラーとして働く以上、この悩みはずっとついて回ると思います…
教職員との連携について大切だと思うポイントについて、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてお読みください。
【いつまで続けられる?】来年も同じ学校、もっと言えばスクールカウンセラーとして任用されるか分からない!
最後は、これまでもこれからもスクールカウンセラーの頭を悩ませている雇用上の問題です。
多くの自治体では、スクールカウンセラーを会計年度任用職員(職員の補助として1会計年度内を任期として任用される非常勤・非正規の公務員)として採用しており、次年度への更新制度はありつつも、確約はされていないため、非常に不安定な雇用形態となっています。
毎年年明けから年度末に向けて次年度の採用および配置校が決定するため、その通知次第では今後の収入や勤務先および通勤手段の変動・変更、兼業先の勤務日の調整、就職活動の要否など慌ただしく動かねばならなくなります。
現在、スクールカウンセラーの常勤化の声が各方面から挙がっており、公認心理師の誕生も相まって近い将来に実現するかもしれませんが、スクールカウンセラーの中でも常勤化を望まない人がいます。
実はスクールカウンセラーの多くは週1(多くて4日)の勤務なので、他の仕事と掛け持ちしやすいのです。
また、スクールカウンセラーは時給が高い(2000~5500円くらい)ので心理職の中でも人気のある仕事なのです。
したがって、複数の仕事を掛け持ちしたい人にとって、スクールカウンセラーという仕事は良質な条件が揃っているのです。
なので、スクールカウンセラーを一本でやりたい人でない限り、常勤化はあまりうま味がないのです。
ただ、スクールカウンセラーが常勤化することにより、校内の教育相談体制が飛躍的に整い、安定したカウンセリングの提供、児童生徒・保護者・教職員向けの研修の充実、いじめや不登校などへの対応強化が期待されます。
また、正規・常勤雇用の少ない心理職においても安定した雇用の確保にも繋がるので、個人的にはスクールカウンセラーの常勤化は早期に実現してほしいと願っています☺
まとめ
本日は、【激白!】スクールカウンセラー×臨床心理士としての悩みと葛藤というテーマでお話しました。
個人的には、スクールカウンセラーとしての悩みや葛藤として以下の3点を挙げました。
・守秘義務ってどこまで守ればいいの?
・雇用が安定しないのは困る!将来が不安!
恐らく多くのスクールカウンセラーが共感してくれるのではないかと思います(笑)
今回の記事は、これからスクールカウンセラーを目指している方にとっても参考になるかと思いますし、教職員や相談者の方にとってもスクールカウンセラーの実情が分かっていただけたのではないかと思います。
ただ、私はスクールカウンセラーという職業が大好きで、学校内において児童生徒・保護者・教職員と近い距離で心理的支援が行えることに喜びと誇りを感じています。
今後もスクールカウンセラーという職業を続けたいと考えているからこそ、もっとスクールカウンセラーとしての資質向上を目指したいと思いますし、スクールカウンセラーの雇用安定を願っています。
以前、スクールカウンセラーとして働くことの苦楽を記事にしたので、そちらもぜひお読みください。
本日のお話は以上になります。今回のお話が少しでもあなたの生活の役に立てたら幸いです。
今日も素敵な1日をお過ごしください。池さんでした(#^^#)
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