心理の専門家とは!?
結論から言うと、一言で心理の専門家と言っても、明確な定義があるわけではありません。
資格の名前でも、特定の職業の名前でもないので、「心理の専門家って何?」と疑問に思う人も多いことでしょう。
具体的に、心理の専門家に関する名称は以下のようなものがあります。
✅メンタルケア学術学会指定の認定する民間資格「メンタルケアカウンセラー」
✅一般社団法人日本産業カウンセラー協会の認定する民間資格「産業カウンセラー」
✅公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会による認定資格「臨床心理士」
✅心理学における唯一の国家資格「公認心理師」
「ほうほう、どうやら心理の専門家には資格が必要らしい 」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
でもこれ、実は大きな誤解なんです!
心理カウンセラーって実は誰でも名乗れる!
上記で挙げた心理の専門家は、一般的に「心理カウンセラー」と呼ばれます。
実は、一部を除いて資格を持っていなくても「私は心理カウンセラーです!」と名乗ることができるんです!
もちろん、お金を取ってカウンセリングをすることもできます。
あなたも”自称”心理カウンセラーを謳えば、その瞬間から心理カウンセラーです(笑)
おめでとうございます🎉
でも、それは先ほど述べた通り「一部を除いて」です(こことても重要です!)
誰でも自由に心理カウンセラーを名乗っていたら、どの心理カウンセラーの元に相談に行けばいいか分からなくなりますよね!?
できれば、心理学の専門知識を持った心理カウンセラーの方が、安心して相談できますよね☺
日本で心理学の専門性が高い資格は「臨床心理士」と「公認心理師」!
心理カウンセラーには色々な資格があることをご紹介しましたが、その中でも特に幅広く心理学に精通していると判断できる資格が2つあります。
それが、「臨床心理士」と「公認心理師」です。
どちらも、大学卒以上の学歴と心理学関連の単位取得、実習経験が取得条件にある難関な資格です。
病院(精神科や心療内科)や学校(スクールカウンセラー)、福祉施設(児童相談所や児童養護施設)で働いているカウンセラーの多くが、上記2つの資格のどちらか、もしくはどちらも取得しています。
では、その2つの資格についてもう少し詳しく解説していきましょう!
臨床心理士とは?
臨床心理士の詳しい説明は、資格発行元である公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が以下のように記しています。
臨床心理士とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”です。
臨床心理士に求められる専門行為とは、
①種々の心理テスト等を用いての心理査定技法や面接査定に精通していること。
②一定の水準で臨床心理学的にかかわる面接援助技法を適用して、その的確な対応・処置能力を持っていること。
③地域の心の健康活動にかかわる人的援助システムのコーディネーティングやコンサルテーションにかかわる能力を保持していること。
④自らの援助技法や査定技法を含めた多様な心理臨床実践に関する研究・調査とその発表等についての資質の涵養が要請されることなどです。
また、こうした4種の業務について、さらなる自らの心理臨床能力の向上と、高邁な人格性の維持、研鑽に精進するために、「臨床心理士倫理綱領」の遵守、5年ごとの資格更新制度などが定められています。
なお、当協会が設立され、臨床心理士の資格認定がスタートしたのは昭和63(1988)年です。令和3(2021)年4月1日現在で38,397名の「臨床心理士」が認定されています。
✅そのために日々専門性を高める機会(研修や講演会など)を作ってますよ
✅臨床心理としての倫理は絶対に遵守しますよ
✅しかも5年毎に資格の更新があって、基準を満たさないと資格失効しますよ
✅かれこれ30年以上の歴史のある伝統的な資格ですよ
公認心理師とは?
では、続いて、公認心理師についてお話をしていきます。
公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。
- (1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
- (2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
- (3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
- (4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
出典元:厚生労働省
求められている専門性は臨床心理士と大きく差はありません。
しかし、臨床心理士との大きな違いは、公認心理師には「名称独占」があるということです。
名称独占については、公認心理士法に以下のように記載されています。
第四十四条 公認心理師でない者は、公認心理師という名称を使用してはならない。
2 前項に規定するもののほか、公認心理師でない者は、その名称中に心理師という文字を用いてはならない。第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
(一部省略)
二 第四十四条第一項又は第二項の規定に違反した者出典元:公認心理師法
つまり、公認心理師はその資格を持つものでしか名乗ることができません。
したがって、公認心理師の資格を持っていない人が「私は公認心理師です!」と公言したことがバレてしまうと、罰金を科せられる場合があるのでご注意を💦)
それくらい法律で守られている(つまり国が唯一専門性を認めた)資格なのです!
これは、心理関係の資格では唯一「公認心理師」にだけ与えられた特権です。(国家資格ってすごいですね☺ )
臨床心理士や公認心理師に関するQ&A
臨床心理士や公認心理師がどういう資格なのかお伝えした上で、恐らく多くの方が以下のような疑問や考えを持つかもしれないので、「よくある質問」形式でお答えしようと思います。
どっちの資格を持つカウンセラーに相談する方がいいの?
ただ、臨床心理士の方が歴史が長く、臨床心理学の指定大学院の修了を受験資格の条件としていあるため、より専門性の質が担保されています。
公認心理師は大卒や心理以外の職種(教職員や看護師など)でも受験が可能なので、純粋な心理の専門家ではない場合もあります。
カウンセラーに相談するにはどこに行けばいいの?
・教育公立教育相談機関、教育委員会、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、予備校(職名は、スクールカウンセラー、教育相談員、保育カウンセラーなど)
・福祉児童関連(児童相談所・市町村子育て支援担当課、さまざまな児童福祉施設)、障害関連(身体・知的障害施設、療育施設、発達障害支援施設など)、女性関係(女性相談センター、DV相談支援センター、婦人保護施設、母子生活支援施設など)老人福祉施設(特別養護老人ホーム、養護老人ホームなど)
・大学・研究所大学(学生相談室を含む)、短期大学、専門学校、研究所・研究機関、大学付属臨床心理センターなど
・司法・法務・警察司法関係機関(家庭裁判所など)、法務省関係機関(少年鑑別所・少年院・刑務所・保護観察所など)、警察関係機関(相談室・科学捜査研究所など)
・産業・労働企業内健康管理センター・相談室、外部EAP(従業員支援プログラム)機関、公共職業安定所、障害者センターなど
・私設心理相談(個人または組織で運営している心理相談機関)
出典先:一般社団法人日本臨床心理士会
どんなことを相談できるの?
学校や福祉の現場では、生徒や保護者の心理相談、学生や地域住民の心理相談、発達の相談や子育ての相談、虐待やDV被害を克服するための相談、障害を持った子どもや大人の療育・相談や支援なども行っています。
司法・警察現場では、受刑者へのカウンセリング・集団療法、少年非行に関する相談、犯罪被害者への支援も行っています。
私設心理相談室では、自分のこと、家庭のこと、学校や職場のことなど、種々の心理的な悩みや課題の解決に向けてクライエントとともに取り組み、その人間的成長を支援します。
まとめ
心理カウンセラーは誰もが名乗れる職業でありながら、臨床心理士と公認心理師はより高い専門性を持ちながら幅広い心理支援を行っています。
普段中々相談する機会はないかもしれませんが、実は身近な公共施設で働いていることが多く、その多くが相談を利用しやすいよう整備されています。
悩みやお困りごとがある方はぜひ相談に行かれてみてはいかがでしょうか☺